善意の資金循環10兆円時代をデザインする/ソーシャルイノベーションフォーラム

ソーシャルイノベーションフォーラム、2日目に参加してきました。

嬉しかったこと、沢山あったのですが、なにはともあれ、自分の担当したセッションをご紹介。
■セッションのテーマ
今回担当させて頂いたセッションは、「寄付のイノベーション〜善意の資金循環10兆円時代をデザインする」でした。
■善意の資金循環10兆円の社会とはどんな社会なのか
それを考えるために、まず知っておきたいのは、「10兆円とはどのくらいのお金なのか」ということ。
例えば東京都の予算規模。
一般会計、特別会計など合わせると約11兆円。
ちなみにこれはノルウェーの国家予算と同じくらいの規模とのことです。
〈出展はhttp://www.zaimu.metro.tokyo.jp/syukei1/zaisei/2404tozaisei.pdf。もう少し新しい数字も公表されてますが、とりあえずこの円グラフがわかりやすいので平成24年度のものを表記。〉
次に、今の日本に「寄付」はどのくらいあるのか。
こちらは日本ファンドレイジング協会が毎年発行している寄付白書から、日米英の個人寄付の総額を比較したインフォグラフィックス。
〈出展はhttp://jfra.jp/wp/wp-content/uploads/2016/01/GJ2015_infographics.pdf。無償で公開されています。〉
これによると、日本の個人寄付の2014年度の総額は7409億円。(あくまで個人寄付の総額です)
ちなみにアメリカは個人寄付だけで27兆円超です。

■セッション内容

今回は6人のプレゼンターが、各自持ち時間7分でプレゼンするというピッチ形式。
いつものパネルディスカッションのコーディネートや、ワークショップのファシリテーションとは異なり、こちらもちょっと緊張…でした。
セッションは、2つのテーマを設定。
1stセッションでは、「私」から始まる善意の資金循環をテーマにお二人が登場。
お一人目は、クラウドファンディングをテーマにJAPAN GIVINGの佐藤大吾さん。

二人目は地域の資金循環をテーマに深尾昌峰さん。

誰かのチャレンジに〝相乗り”する喜び」や、

足元の課題を共有化して、仲間を集め解決につなげるわくわく感」を伝えて頂きました。 

2ndセッションのテーマは「未来」に向かう善意の資金循環。
3番は「寄付月間」をテーマにファンドレイジング協会の三島さん、gooddoの下垣さん

4番は「遺贈寄付」をテーマに 元あしなが育英会の山北さん

最後は「寄付教育」をテーマにファンドレイジング協会の大石さんがご登壇でした。 

2ndセッションはまさに、「欲しい未来に寄付を贈る」お話ばかり。

人生の最後に、あるいはこれからの未来を担う世代に、giftとして送る寄付。その仕組みづくりの一端をお話頂きました。

〈登壇して下さった日本ファンドレイジング協会の大石さん。大石さんがいなかったらきっと寄付白書は出ていないのでは?と思います。〉

〈同じく登壇者の山北さん。あしなが育英会での40年のご経験を、いつも惜しげもなく注ぎ込んで下さいます。〉


■プレゼンターのピッチを聞きながら思ったこと
2つあります。
1.小さなチャレンジが、人と世の中の可能性を広げる
今回のプレゼンターの皆さんは、皆、自ら手をあげチャレンジしている、その実践者です。

お話を伺って、つくづく実感するのは、「小さくても自ら手をあげる、その新しいチャレンジが、次のチャレンジを生んでいる」、ということ。

例えばクラウドファンディングのプラットフォームをつくるチャレンジが、

例えば、新しく自分の住む街でコミュニティ財団をつくるチャレンジが、

遺贈寄付しましょうよ、寄付教育やりましょうよ 、寄付月間という冠掲げて、みんなで取り組みましょうよ、と周囲に働きかけるというチャレンジがあるということ。

そしてそこに共感する人、良い意味で”乗っかる人”、”場や機会を利用して新しいチャレンジをする人”を増やしている、ということ。

一つのチャレンジが生まれると、新しいチャレンジが誘発されていくということ。

それは多様な役割が生まれていくということにも繋がるのだと思います。

そして結果として、人や世の中の可能性が広がっているのではないか、と思うのです。 

手をあげて行動する人は本当に尊い。

 
2.チャレンジするから失敗と進化がある
今回語って頂いた皆さんは、まさに新しいチャレンジに向かうイノベーターであるわけです。

でも、新しいチャレンジには必ず失敗もある。 成功するとは、報われるとは限らない。

一方で、チャレンジがなければ失敗はないわけです。 そしてチャレンジしなければ、時間が経てばきっと相対的に後退していく。

チャレンジすれば必ず失敗がある。でもそこから学び進めることができる。 であれば新しいトライを。怖がらず、軽やかに。そんなことを思いました。

■寄付10兆円時代は、豊かな森のような時代だと思う
みなさんのお話を聞きながら、私の頭の中に浮かんでいたのは、その前の週に訪れた、岡山県西粟倉村で見た天然林の映像でした。




訪れた森は、大きな木もあれば、低木もある。草や苔があったり、枯れた木、落ち葉、蔦もある。そんな豊かな場所でした。

善意の資金循環10兆円の時代をデザインする過程には、大きなチャレンジも、小さなチャレンジもある。

上手くいくものもあれば、いまひとつだったな、というものもあるんだと思います。

でもその中で新しいチャレンジが生まれ、また新しい登場人物が現れて、また違った生態系が生まれ、だんだん豊かな森になっていく

統率の取れた、遠いところにいる誰かが描くデザインではなく、無秩序に見えて必然的な、そんなプロセスの結果なのではないかと思いました。

■おまけ
ちなみに登壇者の皆さまはこちら。
控え室からなぜか大盛り上がり^ ^
   〈出番の前。控え室で記念撮影。えいえいおぅ!盛り上がり過ぎて、撮影者のKさんが爆笑、写真がブレてますw〉

いやー、楽しかった! 

お声がけいただき、ありがとうございました! 何よりも、分科会の調整や企画立案をして下さった日本ファンドレイジング協会鴨崎さん、お疲れさまでした! 
2016年10月06日 | Posted in 過去ブログからの移行記事(2017年3月以前) | | Comments Closed 

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