レポート公開!/AsMama×JVPF協働成果レポート

■協働成果レポート、公開されました!

日本ベンチャーフィランソロピー基金さんからご依頼頂き、株式会社AsMamaとの4年間に亘る協働成果をまとめたレポートを執筆しました!

先日、JVPFのwebサイトから同レポートが公開されましたので、皆様にシェアです。

JVPF協働成果レポート AsMama編(2015~2019)

JVPF-AsMama協働成果レポート

■日本ベンチャーフィランソロピー基金とは

日本ベンチャーフィランソロピー基金(JVPF)は、ソーシャルベンチャーの成長をサポートする日本初の本格的なベンチャーフィランソロピーです。

設立は2003年。

現在の資金規模は約8億円で、個人法人からの寄付の同額を日本財団がマッチングする形で基金が造成されています。

JVPFの支援先事例。現在は7つの団体を支援されています。

■ベンチャーフィランソロピーとは

ベンチャーフィランソロピーとは、経営的支援と資金的支援を統合的に提供し、経営全体への高いコミットメントを伴いながら、社会課題解決に向けたインパクト拡大を目指す仕組みを指します。

資金提供」と「経営支援」の両者を組み合わせて成長を支えるところがポイントです。

ベンチャーキャピタルが有する思想やテクニックを取り入れていますが、社会課題解決の持続的かつ大きなインパクトの創出を目指している点が特徴だと言えます。

■3件目の支援先、3番目の卒業団体

AsMamaはJVPFにとって3件目の支援先で、3番目の卒業団体(支援終了団体)にあたります。

投資金額は3千万円。助成ではなく投資(転換社債)の形式で資金が投下され、無事、投資金額は回収され卒業に至りました。

レポートは、JVPFとAsMama、そして私の3者が繰り返し対話を重ねながら、

  • 4年間で支援先であるAsMamaはどんな変化を見せたのか
  • 4年間の協働にどのような意味があったのか

を、言語化し、知見に変えることを目指しました。

■支援のポイント

4年間を振り返った結果、今回の支援の肝は

  1. コアバリューの見直し
  2. 戦略の設計
  3. 組織基盤の強化

の3つだと整理しました。

レポートを読んでいただければわかると思いますが、これらは全てかなり本質的で、AsMamaさんが事業面でも組織面でも相当な深い変化を経験されたことを感じました。

またそれは、成長痛とでもいうのでしょうか、かなり痛みも伴っていたと感じました。

■さらなる飛躍への期待

AsMamaは今年で設立10周年。

私自身、2010年にメンターとして甲田さんにお会いして以来、様々な局面でご一緒させて頂いていますが、今回改めてAsMamaの飛躍的な成長を感じることが出来ました。

でもAsMamaの目指す未来像にはまだまだ全く達していないのだろうと思います。

この先もぜひ、爆速で駆け抜けていって欲しいですし、成長の足掛かりを作った4年間を振り返り、改めて覚悟や意志を確認する機会にレポートが少しでも役立っていたら嬉しいです。

■日本社会にとっての意味

またレポートでは、「AsMamaとの協働がJVPFにもたらした価値」という節も設けています。

その他の節は「JVPFがAsMamaにもたらした価値」を語っているのに対して、本節は「JVPFにもたらされた変化や価値」を語っているのが特徴です。

AsMamaへの支援は、JVPFにとって“助成”ではなく“投資”として支援先に資金を提供した初めてのケースです。

投資した3千万円は無事に償還されました。

また償還時にはAsMamaから寄付の申し出があり、金額は非公表ですが実際に寄付が行われました。

このことは、AsMamaが4年間の支援を経て“支えられる側”から“支える側”へと立場を変化させたことを意味しています。

当初、無利子・無担保・無保証で提供された資金が、4年間の時を経て償還に至り、また次のソーシャルベンチャーへの助成や投資に使われることは、当該分野のエコシステムの成長を目指すJVPFにとっても、大きな成果だったのではないかと感じました。

■アニュアルギャザリングでのセッションも

今回のレポート、12月2日に開催されたJVPFのアニュアルギャザリングでの公開を目指して作成しました。

ギャザリングでは無事、本レポートを寄付者や支援者の皆さんにお披露目することが出来ました。

またAsMama代表の甲田さんとJVPFの理事の白石さんと共に、セッションを持たせて頂きました。

寄付者の皆さんに成果を報告する大切な機会に、執筆者としてもコーディネーターとしても貢献させて頂いて、とても有難かったです。

毎度のことながら、執筆そのものはとてもしんどく、力を振り絞りながら書かせて頂いていますが、こうやって成果報告に活かして頂けることは、何にも代えがたい喜びです。

AsMama代表の甲田さん、JVPF/SIPの白石さんと。

■ベンチャーフィランソロピーのこれから

JVPFさんの支援先卒業レポート(協働成果レポート)、実は今まで3つの卒業団体すべてのレポートを担当させて頂いています。

実際かなり細かく取材させて頂いて、そのどれもが素晴らしい協働期間を過ごされてきたことを実感してきました。

ベンチャーフィランソロピーはまだまだ日本ではごく少数しか存在しませんが、長期的な視野に立った本質的な支援はこれからのソーシャルセクターの成長に不可欠だと感じます。

またビジネスセクターの知恵を、ソーシャルセクターに上手く活用しながら成長に導くさまは、企業財団や企業の社会貢献活動、コミュニティ財団に関わる立場からも、毎度学び深いものがあります。

ギャザリングでは、JVPFそのものも、今後一層ウイングが広がっていくを予感させられましたし、また新しいチャレンジは、JVPFに限らない、ソーシャルセクターそのものの新たなうねりに繋がる内容が色濃いと感じました。

 

VPの支援は、その断片だけ見ると創業期のベンチャーに対する支援やコンサルティングと同一に見えます。
しかし最大の違いは、「社会的リターンの最大化」にその支援の全てが向かっている点にあると言えます。
 
もちろん、それを支えているのは寄付者からの信頼です。
数千万にも及ぶ資金を投じることで、財政的な基盤も支えながら経営的な支援を行うことで、乗り越えられる壁もまたあると感じました。
 
今回の支援は、柔軟な資金提供、PJにフォーカスするのではなく組織全体へ伴走したこと、また何よりも経営者としての資質向上に力を注がれたことが成功のポイントだったのではないかと思います。
その意味ではまさに、VPの特性を活かされた4年間の協働期間だったのだろうと感じました。
 
貴重な経験をまとめる機会に与ることが出来、心から感謝しています。

レポート執筆にご協力下さった皆さま、ありがとうございました!

(レポートの全文はこちらからどうぞ。)

関連記事