【公開しました】社会起業塾イニシアティブインパクトレポート~19年間の軌跡と成果を振り返る~

■社会起業塾イニシアティブ、19年の軌跡と成果を振り返るレポートを執筆・監修しました

2002年に誕生した「社会起業塾イニシアティブ」。

NPO法人ETIC.が、NEC、花王、NTTdocomo、横浜市などと共に、19年にわたり継続してきた、日本を代表する社会起業家支援のプログラムです。

また、数々の社会起業家を輩出するだけでなく、日本に「社会起業家」というコンセプトを広げ、企業の参画を促し、支援者を育んできたプログラムでもあります。

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この度、この歴史的なプログラムの価値と意義を総括するレポートを公開しました。

作成にあたっては、構成の検討、リサーチの組み立て、執筆、そして監修と、フルに関わらせて頂きました。

文字通り、渾身のレポートです。

ぜひ、多くの方に読んで頂ければと思います。もちろん、拡散希望です。

<レポートの概要>

  • 社会起業塾イニシアティブ インパクトレポート2002-2020
    ~19年の軌跡と成果を振り返る~
  • 発行:NPO法人ETIC.
  • 執筆・監修:株式会社 風とつばさ
  • 発行年月:2021年10月

<レポートの構成>

  • 第1章 社会起業塾イニシアティブとは何か?
  • 第2章 社会起業塾の意図とプログラムのユニークネス
  • 第3章 社会起業塾はどんな社会起業家を生み出してきたか?
  • 第4章 卒塾生の声から考えるプログラムの価値
  • 第5章 企業と社会起業家とのパートナーシップ
  • 第6章 伴走者視点での評価 -コーディネーターから見た社会起業塾-
  • 総括 社会起業塾が生み出した価値とこれから

<ダウンロード先>

<左:社会起業塾イニシアティブ インパクトレポート(全体版)/ 右:同レポート(花王版)>

■社会起業塾とは

社会起業塾は、2002年にNECとETIC.の協働により誕生しました。

現在は、複数の企業が参画する、社会起業家支援のプラットフォームへと成長しています。

19年間で輩出した卒塾生は132名にのぼり、その中には日本を代表する社会起業家/ソーシャルベンチャーへと成長した例も数多く含まれます。

<インパクトレポートP7から>

■今回のレポートについて

今回、作成した公開されたレポートは、

  • 社会起業塾イニシアティブ全体の19年間を振り返るレポート
  • 花王社会起業塾の10年間を振り返るレポート

の2種類からなります。

①では社会起業塾全体を、

②では、花王社会起業塾にのみフォーカスして、執筆しました。
*花王版を作成した結果、ビジネスセクターが社会起業家支援に関わることの意義や、トップランナーである花王のサステナビリティ経営に関する変遷も、深堀りする形となりました。これについてはまた別記事で投稿したいと思います。

■執筆にあたり意識したこと

執筆にあたっては、

  • 社会起業家塾が生み出したものは何だったのか、を言語化すること
  • 個としての起業家の成長だけでなく、エコシステム全体の価値を位置付けること
  • (見過ごされがちな)スポンサー企業の変容にも目を配ること

を意識しました。

同時に、「得られた学び」の言語化も意識しました。

その理由は

  • 社会起業塾は今後も継続するプログラムであることから、振り返りをプログラムの改善に活かす必要が(当然に)あると考えたこと
  • 伴走支援のあり方や、採択前の支援など、社会起業塾にとどまらない普遍的な学びを社会に還元したいと考えたこと(またその価値があると考えたこと)

にあります。

 

「社会起業家支援」という文脈において、社会起業塾は日本で極めて早い段階に誕生しました。

そしてこんなにも長く続いてきたプログラムは他にありません。まさに唯一無二の存在です。

だからこそ、しっかりと学びを振り返り、知見を社会に還元したい。

そう思いながら書いたレポートです。

■執筆する上でのスタンス

今回のレポートには、「インパクトレポート」という名がついています。

ただ、プログラムの評価を意図した第三者による取りまとめではありません。

執筆と監修を担った私自身も、社会起業塾で6年間にわたり起業家に伴走し、その成長を支えてきた立場にあります。そして社会起業塾から多くを学んだ立場にあります。

従って、執筆にあたっては、プログラムの変遷、実態、起業家の成長と葛藤・苦悩を目の当たりにしてきた立場だからこそわかる内容を記し、そのプロセスを振り返りながら、プログラムが生み出してきた価値を言語化することを目指しました。

 

ETIC.の内部のスタッフではない、プログラムを設計した立場ではない、スポンサー企業としてお金を出した立場でもない。

でも完全な部外者ではない、プログラムの中身を知っている。かつ言語化を担える。

だからこそわかること、言えることをしっかり書こうと考え、執筆したレポートです。

また、執筆にあたっては、ETIC.のソーシャルイノベーション事業部の皆さんや、パートナー企業の皆さん、またプログラムを支えてきたコーディネーターやメンターといった支援者の皆さんとの対話やディスカッションを重視しました。

こうした過程から、社会起業塾の次のステージが見えてくるのではないかと思ったからです。

(このあたりについては、巻頭の挨拶文でも触れています。合わせてご一読いただければ嬉しいです。)

<社会起業塾イニシアティブ インパクトレポート 巻頭言から>

 

■見えてきたキーワード

本レポートを貫くキーワードはいくつかあります。

チェンジ・エージェントエコシステム

コラボレーションパートナーシップ

対話自己受容痛み葛藤オーセンティック…。

こうしたキーワードが19年の歴史を振り返る中から立ち現れてきました。

 

総括と展望では、

  • 社会起業塾が培ったエコシステムを集合的な変化に活かすことの必要性や、
  • エコシステムに内在するアドバンテージ、そして
  • 集合的な変化を意図をもって生み出すために、乗り越えるべき課題

が導き出されました。

この20年で、「社会起業家」というコンセプトは一定の広がりをみせてきました。

またサステナビリティが至上命題となる中で、社会的価値の追求が市場からの支持につながるという社会的合意が、ビジネスセクターにおいてもゆっくりと広がりをみせてきました。

 

こうした時代の変化の中で、

  • チェンジ・エージェントをいかにより良く育てるか
  • 培ったエコシステムを、集合的な変化にどう活かすか
    (意図をもって、変革を生み出す)
  • 培ってきたエコシステムの豊かさを、いかに増幅させるか
    (ビジネスセクターの人材を、変革の担い手として招き入れる、起業家の育んだエコシステムを変化に活かす)

といった点が、更なる進化に向けては重要になるだろうと述べました。

■社会起業塾、そしてETIC.に授けられた「宿題」

総括の中では、社会起業塾に、そしてETIC.に授けられた「宿題」にも言及をしています。

宿題とは、
サポートやコーディネートの質の担保であり、
自らが提供できる価値の言語化・明確化であり、
提供価値に合致し、レディネスが整っている起業家を見出し、機会を提供すること
です。

そして、提供価値を振り返り、検証を続け、支援者のエコシステムの質を高めることです。

同時に過度なクリームスキミングを排するべき、という点と、そのための方策についても言及しています。

(これらは全体版の「総括」に記載しています。P60~です。)

■レポートの公開先

レポートは、下記から無料でDLが可能です。

▼社会起業塾イニシアティブ インパクトレポート(全体版)

https://kigyojuku.etic.or.jp/2021/10/13/社会起業塾インパクトレポートを公開しました!/

 

▼花王社会起業塾 インパクトレポート(花王版) (花王株式会社webサイトから)

https://www.kao.com/jp/corporate/news/sustainability/2021/20210916-002/

 

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