地域おこし人サミット2019に登壇しました/手法としての資金循環と、東京のローカルコミュニティのこれから

今日は「地域おこし人サミット2019」にて、登壇させて頂きました。
テーマは
「令和時代の新しい志金循環カタログ」です。

ご一緒したのは、

  • 保田康明さん(神戸大学院准教授)
  • イノウエヨシオさん(株式会社ファンドレックス/神石高原チャレンジ基金)

です。

私は、世田谷での実践と共に、全国各地で起こりつつある、新しい資金循環の仕組みやムーブメントを解説させて頂きました。

今回のサミットは、「実際に地域づくりに関わる方々の気持ちをモチベートすること」が目的とのこと。

そこで、実践からの学びを各地に持ち帰って頂けるように、取組みの背景にある社会的な変化や情勢経緯だけでなくその意味をお伝えするように意識し、お話しました。

一緒に登壇させて頂いた保田先生、イノウエヨシオさんと。

■「手法」としての“お金”

志金循環カタログ」という名に相応しく、会では

コミュニティ財団、クラウドファンディング、ふるさと納税、遺贈、インパクト投資、ICO、新時代の地域通貨など多様な話が出ました。

しかしいつも思うのですが、結局これらは手法でしかないんですよね。

結局は、それぞれの地域にチャレンジする人がいるかどうか

そのチャレンジを冷笑したり、軽んじたり、成功してから乗っかろうとするのではなく成功と失敗の間にある様々な過程や試行錯誤を見守りながら、時に共に楽しみながら歩めるかどうか

ということが、地域の未来を分けるのではないかと思うのです。

プラットフォームをつくる側、資金仲介をする側は、そのことをよくよく肝に銘じて自らのあり方を考えなければならないなと。

 

■「東京」の責任

もうひとつ、これも最近、よく思うことなんですが、東京には東京の責任がある、そのことをきちんと理解して活動しなければならない、と思うんです。

統計的に見れば、既に東京圏には日本の人口の1/3が集中しています。

三大都市圏で考えると、その数は5割に達します。

若年人口の流失は留まることを知らず、この15年だけでも地方圏から3割流出。

若年層の転入超過は女性が男性を上回っており、そして都市部は超低出生率。

東京圏のコミュニティはスカスカなのに、みんなそこを目指してやってくる。

結果、増えていく東京生まれ。

そして一部の例外を除き、統計的には東京生まれのほとんど地方へは移住しません。東京圏に定着し続けます。

だからこそ、地方のことを考えると同時に、東京のローカルコミュニティを何とかしなければいけないのではないか、そう思うのです。

地域づくり、地域おこしというと、どうしても過疎地のことが頭に浮かびます。

私も第2の故郷・3万人の街で地域づくりの実践をしていたので、そのことの大変さ、面白さ、切迫感はとても共感するところです。

一方で、都市側は「都市のローカルのこれから」を模索しなければならない、それが未来世代への責任なのではないかなと思うわけです。

孤立、圧倒的経済格差が生む断絶をどう解消するのか。

エネルギーや食の問題。

減り続ける緑を、残された自然環境をどう守り育てるのか。

人間らしい働き方、暮らし方はどうしたら実現するのか。

30年間時が止まった公教育を変える先鞭はつけられるのか。

質量ともにまだまだ足りない保育のこと、学童のこと、圧倒的な商業化の前で子どもの居場所をどう確保するのか。

高齢者の激増にどう備えるか。

大規模災害にどう備えるのか。

こうした東京ローカルが抱える課題を、どう解決するのか。よりよい姿をつくっていくのか。

絶対解はなくとも、その一つひとつの答えを探す旅を、実践する人、支えるひと、地域の仲間、全国の同志とともに続けたいなあと思っています。

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