経験を学びにするということ:市民ファンド・コミュニティ財団の研修会に参加しながら考えたこと
経験は、深めることで学びになる。そして誰かの知恵になる。
そんな言葉が浮かんだ研修会でした。
特定非営利活動法人 市民社会創造ファンドが、公益財団法人トヨタ財団の助成を受けて開催している「市民ファンド・コミュニティ財団推進プログラム」。
その一環として開催された研修会に同席しました。
2015年度から始まった本プログラム。
私は
・助成プログラムを考える「アドバイザリー会議」
・助成先を選ぶ「選考委員」
の双方の立場で、お手伝いをしています。
(※過去の研修会の様子はこちらの記事から
http://blog.livedoor.jp/mizutanieri/archives/7899136.html)
自分も設計・採択に関わったプログラム、ということで、研修会に(途中からでしたが)お邪魔してきたわけです。
今回の研修会は
○午前 …2016年度の助成先が初めて顔を合わせるキックオフの場として
○午後…2015年度の助成先の活動成果を聞く報告会として
開催されました。
プログラムの詳細や助成先の一覧はこちら。
http://www.civilfund.org/fund02.html
午後の研修会に同席し、活動成果を伺う中で実感したのが、冒頭に書いた言葉、
「経験は、深めることで学びになる。そして誰かの知恵になる。」
ということです。
■市民ファンド・コミュニティ財団基盤強化プログラムの特徴
本プログラムは、文字通り「市民ファンド・コミュニティ財団の基盤を強化する」ことに目的があります。
その意味では、どの採択先の皆さんも、十分なご努力をされていたわけですが、中でも
・千葉のWA地域づくり基金
・みんなでつくる財団おかやま
のご発表が印象的でした。
理由は、
‐自団体の基盤強化を試みるだけではなく
‐その経験とノウハウをアウトプットとして言語化し、共有可能な形にまとめられていたから
です。
(例えば、とある助成プログラムの運営方法をまとめたマニュアルの作成や、スタッフ向けガイドの整理、チェックシートの整理、など。)
〈ちばのWA地域づくり基金〉
〈みんなでつくる財団おかやま〉
◆経験を学びに、知恵に昇華する
経験が学びとして深められ、言葉になり、まとめられていれば、他者に共有することができます。
そうすれば、それをフォロワーが、あるいは同志が活かすことができます。あるいは “商品”として売ることも出来ます。
自分の経験を「学び」として深め、「知恵」として昇華させる。そしてそれを共有する。
手間や時間がかかることが実感できるだけに、だからこそ極めて貴重な取り組みだと感じました。
〈参加者も交えて、1年間の成果を共有-グループワーク〉
◆要するに、オーバーアチーブメントの一端を感じて嬉しかったということ
助成金とは、採択先の成長を助けるお金です。
一方で、プログラム立案者や選考委員側は、「その助成プログラムを通じて実現したいこと」があって、助成プログラムを設計しています。
今回の助成プログラムの最上位の目的は、「市民ファンド・コミュニティ財団の基盤強化」です。
そのためには、個々の市民ファンド・コミュニティ財団の足腰が強化される必要があります。
それが達成された時点で、初期の目的はクリアされるわけですが、そこで得られた個々の団体の成長の結果が”共有知”となることで、分野・セクター全体の伸びしろが広がっていきます。
私は先に記した2つの団体が行われたことはある意味「オーバーアチーブメント」だと感じました。
(ここでは「オーバーアチーブメント」を、「当初求められていたリクエストを超える成果を自発的に行うこと」と捉えます。相手の受容力を超えて、受け止めきれない内容を、勝手に盛っている=オーバースペック、ではないですよ。)
そしてオーバーアチーブメントが生まれる理由は、「理解したこと、達成したことを誰かに伝えたい」という、人間の善意や本能によるものだと思います。
〈全体共有とコメントの様子〉
-市民ファンド・コミュニティ財団という、世の中の大半の人にはまだよく得体の知れないものをサポートしようという意欲を持った助成プログラムが生まれたこと。
-それにこたえようとする助成先が存在したこと。
-初期の設定を超えて、オーバーアチーブメントが生まれたこと。
-そしてそれを共有できる場があったこと。
その4つを素直に喜びたいと感じた、そんな研修会でした。
〈山岡さんからの総括コメント〉
研修会を企画して下さったスタッフの皆さま、ご発表者の皆さま、お疲れさまでした!