【出演しました】ダイバーシティニュース 10月2日(月)放送
動画配信とFMラジオの同時放送による情報番組、「ダイバーシティニュース」。
再びゲストコメンテーターとして出演しました。
この日の生放送も、千代田区麹町にあるグロービス経営大学院のスタジオから。
今回のお相手は、フリーアナウンサーの今井友理恵さんです。
こちらの番組、前半では、「ニュースピックアップ」として、ゲストコメンテーターが5つ、トピックスを紹介する形式が採られています。
今回私が取り上げたトピックスは、次の5つです。
- 「SDGs」の目標達成が危機的に。進展している目標はわずか15%
- 世界の保健課題の解決に向け「Triple I for GH」始動。インパクト投資で下支えを
- 高度成長時代の象徴「高炉」が停止に。新しい産業への転換期か
- 日本で理工系の女性が少ない理由は?OECD加盟国で最下位
- 自治体消滅の危機!人手不足で外国人人材に期待を
お話しした内容について、少しだけご紹介です。
■1.「SDGs」の目標達成が危機的に。進展している目標はわずか15%
1つ目のニュースは、SDGsの達成目標に関するレポートを基にしたものです。
先日、ニューヨークの国連本部で開催されたSDGsサミットに合わせて、各国での取り組みの進捗状況をまとめたレポートが公開されました。
レポートによると、SDGsの取り組みの進捗度は
- 「達成の軌道を外れる」 48%
- 「2015年の基準年から停滞か後退」 37%
とかなり深刻な状態とのこと。
番組ではこの背景をお伝えすると共に、投資額の確保の必要性(と実際の途上国投資とのギャップ)をお話ししました。
■2.世界の保健課題の解決に向け「Triple I for GH」始動。インパクト投資で下支えを
2つ目のニュースでは、「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアチブ」(通称 Triple I for GH)の発足について、解説しました。
Triple Iとは、「Impact Investment Initiative」の頭文字、3つのIを示しています。
GHとは、グローバルヘルスの頭文字ですね。
番組では、イニシアティブ発足における日本の役割や世界に向けた貢献について、解説しました。
Triple I for GHは、
- 日本国内での半年間にわたる研究会での議論と、
- これを受けたG7広島サミットでの日本からの提案
を背景として誕生したイニシアティブです。
グローバルなイニシアティブですが、事務局は日本が務めていて、共同議長の一人はコモンズ投信の渋澤健さんが担われています。
番組では、GDP世界第3位の日本には、資本主義の力と人道的配慮を伴う国際社会への貢献がもっともっと求められると思うこと、そのひとつのきっかけに、今回のイニシアティブが成長していくのではないか?という視点をお伝えしました。
■3.高度成長時代の象徴「高炉」が停止に。新しい産業への転換期か
3つめのニュースでは、川崎市臨海部でのJFEスチールの高炉停止を切り口として、「ジャスト・トランジション」の重要性をお話ししました。
ジャスト・トランジションとは、「公正な移行」を指します。
先日J.P.モルガンの支援を受けて、NPO法人ETIC.と共に実施した、こちらのPJのことも頭にあって取り上げたものです。
解説では、主に
- 新たな経済弱者を生み出さないための取り組みの必要性
- 具体的には、
- 移行時に労働者の権利を十分に守ること
- リスキリングなどの教育投資を行うこと
- 女性や若者、高齢者、障がい者など、不利な立場に置かれる可能性の高い人への十分な配慮を行うこと
について、お話ししました。
また、コミュニティへの負のインパクトを抑える努力の必要性
についても言及しています。
番組では視聴者からのSNSを通じたコメントを募集しているのですが、この日は視聴者の方からこちらのトピックスにコメントをいただき、番組のクロージングでご紹介しています。
クロージングの際には、広島県呉市の瀬戸内製鉄所でも、今回の放送の2日前にちょうど高炉が閉鎖されたこと、また全国で老朽化した火力発電所の閉鎖などが続いていることにも触れました。
ジャスト・トランジションを実現するためには、新しい産業を生み出す視点が欠かせません。
今回の川崎の例では、跡地利用として、水素の供給拠点整備も始まっているそうです。
脱炭素技術で世界をリードする、日本企業の変革が期待されますね。
■4.日本で理工系の女性が少ない理由は?OECD加盟国で最下位
4つ目のニュースは、OECD調査結果を基に取り上げたものです。
調査では、理工系分野における女性の活躍において、日本がOECD加盟国中最低レベルにある、という結果が示されています。
具体的には
- 「自然科学・数学・統計学」の分野で27%
- 「工学・製造・建築」の分野で16%と
とOECD加盟国38か国中、比較可能な36か国で最低です。衝撃的な報告ですね。
しかも前回の2015年調査から殆ど数値が改善していないという状況にあります。
番組では、
- アンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)
- 理工系分野で活躍する女性のロールモデルの少なさ
などの背景に触れると共に、
- 女子学生向けの給付型奨学金の充実の必要性
についても言及しました。
以前ブログでもご紹介したのですが、私自身は昨年度、メルカリ創業者である山田進太郎さんが、個人の財産を使って創設した「山田進太郎D&I財団」の奨学金の審査委員を担当しました。
この時感じた都市と地方の格差、男女の格差に対する問題意識が、ニュースをピックアップした背景にあります。
ちなみに、大学進学率には東京都市圏と地方では差があります。
- 東京では男女とも大学進学率は75%超
- 全国平均は56%
- ワーストの秋田県・岩手県は39%
です。相当な差がありますよね。
また男女の差も存在します。
短大を含まない大学進学率は、男性は56%、女性は49%です。
県外進学が抑制されがちな地方在住の女子生徒にとって、給付型奨学金の存在は、とても大きいと思います。
このあたり、もっともっと、政府・経済界・フィランソロピーセクターなどがバックアップできるとよいな、と。
■5.自治体消滅の危機!人手不足で外国人人材に期待を
最後は共同通信社の首長向けアンケートを取り上げました。
今年4月に国立社会保障・人口問題研究所が、将来推計人口を公表したのですが、これをベースとした自治体首長向け調査の結果です。
調査結果を読んで、島根県・高知県では回答のあった首長100%が「外国人材の受け入れが必要」と回答していたのが印象的でした(ちなみに両県ともに、生産年齢人口の割合ワースト、高齢化率トップスリーの都道府県です。)
■番組後半のゲストとのトーク
番組後半では、「株式会社WHERE」の代表取締役、平林和樹さんをスタジオにお招きしました。
平林さん(愛称でぽぽさん、とお呼びしています)は、次の時代の「豊かさ」を目指して地域プロデュース事業に取り組んでいらっしゃいます。
後半ではぽぽさんから、地域での実践として、
- ローカルライター養成講座
- ふるさと起業家支援プロジェクト
について、お話し頂きました。
ぽぽさんが取り組んでいらっしゃる事業はどれも、「キャリアシフトを通じて、地域で自ら何かを起こしたり、その魅力を伝える人を育てること」に共通項があります。
ローカルライター講座は、株式会社Whereで取り組む、「ローカルレター」の強みを活かし、着想されたものだとか。
ライターとしての力量形成やスキルアップと共に、志を同じくする仲間と出会い、研鑽する場になっていること、またそうした過程の中で、地域の魅力に気づき、結果としてチャレンジする人・支える人を増やす成果を生み出している、というお話からは、事業を通じて、人と社会の双方をより良くしていこう、というぽぽさんの意思を感じることができました。
そして最後は5つめにピックアップしたニュースとも絡めながら、エンディングトークを。
人口減少を前提として、どうやって地域の持続可能性を高めていくか、それには人口減に伴う構造的な変化への適応を考えるとともに、担い手をどうはぐくむか、という視点が欠かせません。
自分としても学びが多かったダイバーシティニュースの出演。
グロービスの「学び放題」や、YouTubeでの配信でも、映像をご覧頂くことができます。
ぜひぜひご視聴下さい!